闇に捧げる【鎮魂歌―Requiem】

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「ならもうちょっと、暴れてから逝きますかなっと!!」 二人は再び蠢く敵の中に単身斬り込んで行った。もうとっくに限界は超えていた筈なのに、身体が、本能が血に飢えて戦いを求める ――やはり俺は兵器だ。 そんな事を考えた自分を鼻で嘲笑いながらレインは剣を振り下ろした ――これでいい。戦ってこそ自分の存在を明確に出来るのだから…… それから数日後―― 黒いローブに身を包んだ二人の姿が、彼らの家の前にあった。所々に傷を負い、血が溢れる様に流れ出ている 肩を支え合い、ここまで来た二人だったが、レインはまるで死んだ様に動かず、セシルがレインを半ば引きずる様にここまで連れてきたのだ 視界一杯に広がる建物は、まるで朽ちた古城の様な造りで、怪しい雰囲気を醸し出している 全体が黒一色で統一された古城は人里離れた深林の奥に建てられたもので、常人ならば容易には近付けない それはこの森が樹海の様な迷宮であり、その名を【亡者の森】と呼ばれる程に危険であるからだ。魔物の出没が多々あり、仮にここに辿り着いた者が居ても、その存在自体が秘密のこの場所を見て、生きて帰る者など存在しないからだ そう……ここはその存在自体が皆無であり、その存在は闇。 そして彼らの家であるその名は 【Assassin gild ―XⅢの塔】 人々は、それを恐れ多き存在、【黒の機関】と呼んでいる かく言う彼らも、誰一人としてその存在を確認した者など居ないのだが、闇の世界ではごく有名な話である そんな虚無な存在【黒の機関】までレインを運んで来たセシルも腹部には深い傷を負い、血を垂れ流していた。セシルは自分の家である門の前に辿り着くと、緊張の糸が切れたかの様にその場に伏した セシルの紅蓮に染まった瞳は、虚空を見る様な目に変わり、やがて重くなった瞼が視界さえも奪っていった…… 二人が意識を失い、倒れ込んでいる門の前で、それはゆっくりと開き始める 鉄製の扉が音を立てながら開ききると、中から足音が響きながら二人に近付いてきた
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