闇に捧げる【鎮魂歌―Requiem】

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闇から薄光に照らされた人物の姿は二人と同じく黒ローブを纏(まと)い、顔を隠していた 二人の姿を足下に確認した男は、口元を三日月に歪ませ、口を開いた 「また負傷して帰ってきたか……まぁ、目標は達して来たのだからそれは良い。せめてもの代償か……」 男はそう言うと、二人の裾を掴み、引きずりながら城内の闇へと再び姿を消した ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 5ヶ月前――― 軍事養成施設 通称【S.S.D.D】の最終演習が終わった3日後、 No.365は執務室に召喚された。 全方位を防弾ガラスで囲まれ、真っ白な空間に全身緑の繋ぎを着せられて俺は居た。両手には手を切り落とさないと取れない黒い正方形の発信機が取り付けられており、施設の監視外に出ると起爆すると説明があった。 無論外に逃げ出す気など無い。彼は最後の命令を確実に遂行し、後は卒業するまでなのだから。 唯一のドアが、機械音と共に横にスライドして開いた。同時に一矢狂わぬ動きで迷彩服を来た兵士が二人部屋に入ってきた。 片方の男が部屋に入ってきた途端に言った。 「召集命令、No.365は直ちに執務室まで同行せよ」
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