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契約を終えたお客様は一仕事終えて優越感に浸る室長の会話を無視し、部屋を出ようとしていた。しかし、ドアが横に開いたのと同時、室長がお客様を呼び止めた
「お客様、お買い上げ頂いてこんな事を言うのも気が引けまずが……あんな奴で良かったでしょうか?」
「………あんな奴とは?」
自らが放った言動により、お客様を不快にしている事など全く気付く気配が無い室長は、話を止める事なく続ける
「いえ、あいつは他の被験体と違い無口で社交的ではありません。あなたのお力になるでしょうかね?」
男はそれを鼻で笑って一蹴し、威圧を込めた反論言わさぬ声で言った。
「幸い、うちの組織には彼の様なタイプが逆に合う。無用な感情など要らぬ。それを分かって買い上げたのだが、貴様はそれさえも察しなかったのか?」
その口調にようやく自らが犯した過ちに気付いた室長は、取り返しの付かない状況に苦しい状態に陥った。言葉を絞り出そうにもこちらを睨み付けるお客様がそれを許さない
室長がまるで蛇に睨まれた蛙の如く黙り込んだのを確認した男は優越な顔を浮かべ部屋を後にした
「おっ……お客様っ!!」
再び室長が止めに入り、今度は背中越しに顔だけを向ける
「分かっている、秘密は守ろう。こちらとて買い手の正体を明かさずに契約する条件だっからな」
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
次こそは室長の制止はなく部屋を後にした男は、迷う事なくレインが居る部屋へと向かった。部屋に着くと外からでも分かる全面防弾ガラス張りの部屋の中央に座るレインを見つけた
部屋の中は白一色で統一され、唯一の家具であるベッドとソファーも白に染め上げられており、男それを見て失笑した
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