~ 熱意 ~

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   神谷は、今日も、ハンドルを握っていた。長距離トラックの運転手を始めて、10年目。労働組合委員を勤める、ごく一般的な、平社員だ。    その日は、朝から労働組合の会議があった。   「少し仮眠取れそうだな」    神谷は、トレーラーで、長距離の定期的な荷物を運ぶ仕事をしている。  荷物を降ろし終えて、会社には、いつも通り、午前3時には、到着していた。会社に着くと、燃料を満タンに補充して、トレーラーヘッドを丹念に洗う。会議は午前9時からで、まだ時間があった。会社の仮眠室で少し横になる。    神谷は、仮眠室の二段ベットで低い天井を眺めながら、会議の議題について、考えていた。  今日の議題は『賃金の引き下げ』だった。    (冗談じゃねぇぞ)    当然眠れる筈は、なかった。
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