出会い

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「聞こえますよ。空耳さんですか?」 あぁ、てんぱりすぎて変なことを聞いてしまいました。 あせりつつ、一段と険しい顔になった狐に微笑みかけながら、 「俺、頭おかしくなっちゃいましたかね。空耳に答えちゃいました。」 返事なんて返ってくるとは思わないで狐に話かけて自嘲気味に笑っていると、少し虚しい気分になってきました。 でもそんな俺が面白かったのか、言葉が通じるのかはわかりませんが 狐の顔が明るくなって、目がきゅっと細くなりました。 「誰と話してると思ってんだお前。」 まだまだ続くようですね。 なにか変なものでも食べたんでしょうか。 今朝のなめこ汁に幻覚症状のあるきのこが乱入していたとか。 「え、空耳ですよね?」 「ちげぇよ。あほか」 即答されてしまいましたが、空耳に馬鹿にされるなんて癪ですね。 「どこ見てんだばかやろう。目の前にいるだろうが。」 と、空耳・・・いや、 え、 狐ですか? 「あなたですか?」 と、 綺麗な黄色の瞳に 俺は 冗談まじりに、 つぶやいてみました。
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