お持ち帰り

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「初めてだぞ。俺が話してることわかる人間なんてなぁ。」 「そんなこと言われても、俺も初めてですよ、動物に話が通じているのは。」 お互いに夢のようだと感じているのはいったいどういうことなのか。 「ていうか、あなたは普通の狐なんですか?九尾とかそういった妖怪ですか?」 はじめに思った通り、お稲荷さんの使いだとすると、神様という推測もできる。 「はぁ、アニメの見すぎじゃねぇか。むしろ俺がお前の方が普通の人間か、と問いたいぐらいだね。」 と呆れたように下を向く狐にキュンキュンしながら、 じゃぁいったいこの状況はいったいなにが起きたのか、と まさに狐につままれたような気分になる博雅だった。 心の声(ていうかあなたアニメ見るんですか?) 「じゃぁ、どうして狐がこんな所にいるのかお聞きしますね。飼われてたんですか?」 狐は2回ほど目をパチパチした後、 「そりゃぁ、お前俺ぁ野生だぞ。・・・山にいるのは普通じゃ・・・」 と、言った後周りを見渡して狐は固まった。 「山・・・?」 「町ですが。」 「え……どこだここ?」 博雅も固まる。 「ちょっと待ってくれませんか。俺、面倒事な予感がします。では。」 と、いやな予感がした博雅は、一刻も早くこの場を離れなくてはいけないと感じて、立ち去ろうとするが、 「え?お、おぉい!待てよ、置いて行くのかよ、人間。どこだよここ、一匹にすんなよ!!!」 狐のこの一言は、博雅の胸の爆発させそうになった。 しかも振り返ると、必死に潤んだ目をして追いかけてくる健気な狐の姿が・・・。 「き、狐さん・・・」 (やばいです可愛すぎです。喋り方ちょっと生意気だったけどめちゃくちゃ今のは効きました!置いていきたくはないのですが、俺の嫌な予感はあたるんです!) 追いついた狐が博雅のズボンの裾に噛み付いて、 キャンキャンと悲しそうに鳴くものだから、 「俺んち探偵事務所なんですけど…来ます?」 と、あっさり受け入れてしまった博雅は自分でも驚いた。
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