体育祭は正々堂々と・・・

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  そして早瀬を待つ・・・ 20秒ほど後、早瀬が近くまできた。 早瀬もゴール前で立ち止まり、俺に話しかけてきた。 「ハァ・・・ハァ・・・どういうつもりだ?」 「勝ちを譲ってやるよ。ほら、ゴールしろ」 「・・・・・・てめえ!」 早瀬がこちらを睨み付ける。 ・・・・・・計画通り。 「ほら、ゴールしろよ。陸上界のホープ。ここで負けるのはいろいろまずいだろ?」 まずいな・・・他が追いついてきた ・・・早く終わらせたい。 「なんだと?」 「だからスポンサーとかついてんだろ? その人たちに申しわけたたねぇだろ? だからさっさとゴールしろよ」 「・・・・・・」 早瀬が黙り込む。 義務とプライドが戦っているのだろう。 俺はここに精神攻撃を叩き込む。               ・・ 「お前はどう頑張っても俺には絶対勝てないんだから諦めろ。才能の力はお前が一番よくわかっているだろ? ほら、そろそろ後ろくるぞ?早くゴールしろよ」 「・・・・・・うるせぇ!」 いい具合に乱れてきた。 よし、もうひと押し。 「お前じゃ俺には絶対勝てねぇよ!」 「・・・・・・」 「今勝つのがお前のためだぞ!」 「・・・・・・」 「今勝たないと二度と俺に勝てねぇぞ!」 「・・・・・・」 「今しかチャンスねぇぞ!」 「・・・・・・」 「さぁ早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!」 「うるせぇ!うわぁぁぁああああ!」 早瀬は頭を抱えてその場に膝まづいた。 よし!折れた! 振り返ると北はもうあと30m位の所にいた。 ・・・・・・完璧だ。 俺はその場から一歩踏み込んで、ゴールテープを切った。 1位・・・俺、2位・・・北、・・・、ビリ・・・早瀬
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