一章 「弟分」

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この話は、神室町でのゾンビ騒ぎが起きる5ヵ月前に起きた話だ。 2010年冬 都会の中でも片隅に東山村霊園と呼ばれる霊園がある。 そこには今まで桐生に関わった人間の墓がある。 そこに今日、桐生はお墓参りに来ていた。 霊園に入り、まずは桶に水を組み、まずは親代わりであった、風間の墓地へと入り、墓石を洗いながらそっと話始める。 「おやっさん、お久しぶりです、俺はあれから俺なりに大切なものを守って生きてみました。 やっと今になり俺に見えてなかったなにかが見えてきました。 先日、東城会に冴島という男が戻り、俺たちが命がけで守ってきた東城会はこれからもきっと守られていきます。 陰ながらにおやっさんも応援してやってください、ではまた来ます」 最後に手を洗うと錦山、由美、寺田の墓参りを済ました。 「あと1人、しなくちゃな」 といい、ちょっと離れたところにある、周りの墓よりは小さいが立派な墓へ桐生は入る。 「死に目に会えなかったな、俺はお前に出会えていろいろ学ばせてもらった、ありがとな、浜崎」 そう、浜崎のお墓であった。 脱獄時に撃たれた傷が広がり浜崎は安らかに逝った。 桐生は墓を洗い流し、遥に頼まれた一輪の花を添え、手を合わす。 「お前は!?」 「ん? 冴島」 そこには冴島組組長となった、元死刑囚、冴島がいた。
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