一章 「弟分」

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冴島はすでにお墓参りは過ごしたらしく、二人は霊園を後にし、話をはじめた。 「大悟はしっかりまとめているか?」 「あぁ、奴は奴なりに東城会を考えている男や、なにかあったら俺と真島がおるしな、安心せぇ」 「そうか、それは安心だな」 と桐生は笑みを浮かべる。 「それにしてもよからぬ噂を聞いたで」 「良からぬ噂?」 「あぁ、桐生も東城会の人間だったならわかるはずだが、北海道の蝦夷組の人間が神室町になにやらたくさんきとるらしいんや、東城会とは敵対関係にあるし、もしかしたら戦争になるかもわからん」 「確かに蝦夷組が急に神室町に来てるって大悟が知ったら戦争だな」 「ただな、桐生、狙いは噂だと東城会ではないらしいんや」 「なに、じゃあいったいなんだっていうんだ」 「桐生 史也って男を探しとるらしい」 「桐生史也? 俺には兄弟なんていないぞ?」 「ようわからんが、お前によく似とるらしい、ひまわりのこともあるが、できたら探ってくれへんか?」 「……、わかった、わかり次第連絡をする」 「あぁ、1人で無理はするな、相手は東城会に次ぐ日本の極道の最大組織や、じゃあわしは帰るで」 桐生史也とはいったい誰なのか、 桐生は再び神室町へと戻ることとなった。
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