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虎入道のトリガーを引き、今度は梓沙が目標に斬りかかる。
「はぁぁぁああ!」
《はぁぁぁああ!》
ガキンッ!!!
「…そんなっ!?」
《…そんなっ!?》
なんと目標は、今度は梓沙の姿に変え彼女と同じモーションをとり虎入道による居合い斬りを受け止めた。
しかも、重圧式居合刀…虎入道の反重力によって加速された居合いの仕組みまで同じであった。
『梓沙、下がって!』
《梓沙、下がって!》
そう言って九字兼定を鞘に納め、右手を目標に向かってかざす未緒。
『(燃焼圧砲…、さすがにコレまでエコーされないわよね!)』
そう心の中で呟き、右手から前方に可燃室を形成する未緒。
すると、目標も未緒に姿を変え、右手をこちらに向けて手をかざした。
すると、辺りに生暖かい空気が漂った。
…そう、可燃物に満ちた燃焼室。
『…っ!?まさか!』
《…っ!?まさか!》
ズカァァァァン!!!!
嫌な予感がした未緒であったが、彼女はそのまま可燃室に点火し燃焼圧砲を放った。
しかし、嫌な予感とはよく的中するものであり、未緒が燃焼圧砲を放つと同時に、目標も燃焼圧砲を放った。
二人のちょうど真ん中でぶつかり合う二つの燃焼圧砲。
…そう、寸分違わず二人の真ん中でぶつかり合う。
この事から、目標の放った燃焼圧砲は、速さ、威力、その他もろもろと未緒と全く同じ性能の燃焼圧砲であることが証明された。
人の姿や動き、さらには所持物の性質や超能力、その全てを山彦のようにエコー再生させるヒューズ・SUZUSHINAの能力。
確かな発動条件は不明であるが、「音」が深く関わっていることは容易に推測できる。
『…くっ!』
《…くっ!》
ぶつかり合った二つの燃焼圧砲は辺りに轟音を響かせ爆発を起こし、その爆風は未緒の身体を後方へと吹き飛ばした。
同時に、寸分違わぬ動きで同じ分の距離だけ後方へと吹き飛ぶ目標。
このまま闇雲に突っ込んでは泥試合を挑むようなもので、「負け」はしないが「勝ち」もしない。
しかし、「勝ち」を拾わない限りは未確認災害源、すなわち通信障害を絶つ事が出来ずに結果としては「負け」となる。
引き分けは負け。
しかし、相手は引き分け狙いに特化した能力者。
『(…っ痛ぅ!このままでは埒があかない。どうすれば…)』
現状を打破出来ずに考え込む未緒。
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