37人が本棚に入れています
本棚に追加
ゼオンは金色に輝く大剣を構えて前に出た。魔王は黒い玉座から微動だにせず、笑みを浮かべている。
「五人いたパーティーも残りは魔法使いと勇者様だけか」
「まだダリヨスは死んでない!」
玉座から動こうとしない魔王を睨み付けて、ゼオンは声を荒らげる。
魔王はふんっと鼻で笑って、再び掌に紫炎を集め始めた。
「させるかっ!」
ゼオンが飛ぶように走り魔王に詰め寄る。 赤いマントが翻った。
「遅いっ!」
目が眩むような紫炎はゼオンの左脇を抜け、後方にいたシャーナとダリヨスの元で爆音をあげた。
「終わりだ」
魔王は静かに立ち上がった。
「ああ、そうだな」
ゼオンは振りかぶった剣をゆっくりと下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!