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紗智とは相変わらず一緒に居たが、クラスに戻れば私は一人だった。
他の子達とも仲良くやれればいいかもしれないが、それは面倒くさいので嫌だ。
紗智は、良い子だ。
紗智と知り合えて本当に良かったと思っている。
しかし、紗智以外の女子共と言えば全く頭にくる連中ばかり。
誰も見たくないのにパンツが見えそうな程スカートを短くするし、香水の匂いはきついし、下品な声で笑いながら下品な話を大声でして、男の尻ばかり追い回してる。
まるでハイエナ。
男もくだらないが女もくだらない。
だから私は人間が嫌いだ。
群れなければ、何も出来ない。
いつも私は、窓際の一番後ろの席に座っている。
席替えなんかあっても、この場所は最初から私の場所だ。
今まで何事もなく、やってきた。
私はただここに居るだけ。
ただの『空気』みたいになっていたから。
それなのにくだらない連中は、くだらない遊びを考えて、空気である私を玩具にすることを決めた。
まずは私を取り囲む。
そして訳のわからない言葉をぶつけてくる。
「よぉ、幽霊女。お前死んでるんだろ?」
「ってか何学校来てんだよ。墓場へ帰れ!」
私はそれを聞こえていたが聞こえないふりをした。
くだらない。
構ってる時間が勿体無い。
『死人!!死人!!』
クラス中が私を死人扱いしている。
私はそれが可笑しくてつい笑ってしまった。
「何笑ってんだよ!なめてんのか!」
男子が私の胸ぐらを掴んで怒鳴る。
私はそいつの真っ赤な顔を冷静に見つめながら、机の上にあったカッターで手首を切った。
勢いよく、血が出る。
痛くなかった。
不思議と怖くもなかった。
「……これで満足?今からなるわ。死人に」
周りはもう何も言わなかった。
私の意識は遠退いていき、クラス中のざわめきと共に辺りが真っ暗になる。
最後に、紗智の「奈央!!」と言う声が聞こえた気がした。
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