高峰―Takamine―

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スケッチブックや鉛筆は無かったが幸いにも授業のノートとペンがある。 今はそれでも構わない。 描けるなら何でもいい。 私は必死に二人を描いた。 二人の幸せな時を形に残すために。 そして菅原直也に挑戦するために。 ずっと心臓がドキドキしていた。 生きてるんだと実感した。 ずっと描くことをやめていた、憎んでさえいた絵を描く事がこんなに生きてるんだと思えるなんて。 とりつかれたようにひたすらに描き続け、気が付くと何時間も経過していた。 ノートをほとんど使ってしまうほど下書きを繰り返し、手は限界に近く震えが起こっている。 しかし、充実感に満たされていた。  
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