寂しい微笑み

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夕食を終えて黙ったままでいる私に、紗智は言った。 「私ずっと奈央の事見てて、いつかこうして話してみたいって思ってたんだ」 そうして私の目を真っ直ぐに見つめてくる紗智にドキッとする。 「……だったらどうして今日まで話しかけてこなかったの?」 「奈央の、誰も近寄らないでみたいなオーラが怖かったから」 確かに私は、いつもそうやって誰にも話しかけられない様にしていた。 「でもね。今日屋上に奈央が現れて、運命なんだって思ったんだ。ずっと話してみたいって思ってた子があんな形で現れるなんて普通ありえないでしょ?」 紗智はそう言って無邪気な顔で笑った。 今日、紗智と出会っていなかったら今頃私はどうなっていただろう。 あのまま、夕日に向って飛び降りて死んでいたかもしれない。 それは、紗智も同じだが。 そう言えば、紗智はどうして飛び降りようとしていたのだろう。 もう一度聞こうとして、私は止めた。 いつか紗智が自分から話してくれるまでは、聞かない方がいいのかもしれない、そう思ったのだった。  
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