program.1 certain murder case

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 「一つ、君に聞きたいのだけど、質問しても良いかな?」  とあるホテルのスイートルームで、金髪の青年が、軽い口調で口を開く。ベッドに腰掛けながら、右手で何かを弄び、関心の無い虚空へ、言葉を続ける。  「命って、君にはどんなものなのかな?俺は、これでも真っ当に生きてきたつもりだし、人並みの倫理観念も、普通に持ち合わせているけど、どうしたってその真理を掴めないんだよ。さながら、雲を掴むような話さ。星を掴むような話でもある。そこに思い至って、君に質問だよ」    青年が、ベッドから腰を上げる。広い室内を横切って、丁度、部屋全体の真中辺りで足を止める。  青年は、眠たそうな半開きの目を、目の前の中空に向けた。今度は、関心の有る虚空へ。  「君から見て、多くの命を無作為に奪ってきた君から見て、命とは何だと思う?」    
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