触手人間、爆誕!

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 僕は今、最高に昂ぶっている。 「あん、ダメ……」  彼女の吐息が、仕草が、すべてが僕の理性を溶かす。  僕が手を動かせば彼女は恥ずかしがって身をよじらせ……、僕の想像の範疇を超えて動きだす。  ああ、何とよい気分だ。今世界には僕と彼女の二人しかいない。  俗世の喧騒などどうでもいい。僕は今完全にそんな薄汚い世界から離れ、彼女と二人、崇高かつ前人未踏の領域へと向かっているのだ。 「もう我慢などできない! いくよ!」 「うん…………」  さあ宴の始まりだ。  僕の荒ぶる意志は一つ残らずすべて、彼女に注ぎ込まれる。彼女は──“世界”は今僕のものだ。同様に僕もまた、彼女のもの。  すべて、すべてすべて何もかもが渾然一体となって今── 「もうダメ私、もう、もう──!」 「僕もだ! 一緒にいこう!」  そうして世界は溶け合い、僕と彼女は今、一つに── 「おい沼田ァ! 授業も聞かず何やってんだ!!」  不粋な声が僕を俗世に連れ戻した。僕と彼女の“世界”が見慣れた小汚い教室に変わる。
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