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「イカ、イカ、タコ、タコ、イカ、タコ、イカ、イカ……」
茂みの中からは相変わらず不気味な呪咀が流れている。ふむ、「イカタコ、イカイカタコタコ、イカイカタコタコ」でループしているようだ。
「タコ、タコ、イカ、イカ……イカ……イカ……イカ……イカ……!」
あれ、様子がおかしいぞ。
「イカか、タコか、イカか、タコか、割とイカ……やタコ?」
茂みの主は自分の存在に疑念を抱き始めたみたいだ。あ、ちなみに僕はイカもタコも嫌いだが触手物の同人は大好物だ。
「イカァタコ、タコォイカ。タコ、イカ……………………カブトガニィ!」
カブトガニ!? 急に天然記念物が口を挟んできたぞ!?
僕はその場で固まっている自分に気付いた。
いけない、早くこの場から離れないと……。
「カブトガニィ!」
突然茂みからなにかが飛び出してきた。それはまっすぐ僕へ……。
手から傘がはらりと落ちる。
僕の目の前は闇に包まれた。もはやなにも見えず、手足になにかが絡み付いてくる。
これは触手なのか? 僕は触手のあるなにかに食べられてしまうのか?
よもやなにも考えられない……、僕の意識は混濁し、落ちていった……。
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