触手人間、爆誕!

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「聖火……?」  聖火はじめ(せいかはじめ)。うちのクラス二年三組のアイドルだ。  聖火は身長も低く胸もあまり無いがそこが却って需要があるのだ。僕も聖火はかなりタイプなので聖火をモデルに作品を書いたことも少なからずある。 「まさかうちの学年一の変態に憑依するとは……、イカタコ星人も見る目がないなあ」 「イカタコ星人? どういうことだ」  くすくす小馬鹿にした笑みを浮かべる聖火に僕は立ち上がりながら問い掛ける。  おっと危ない。またよろめいた。僕は手を地面につけてバランスを取り……バランスを取り…………。  あれ? ……僕の手ってこんなに長かったか?  ふと僕は自分の手を見た。 「こ、これは!?」 「やっと気付いた? 中々似合ってるよお?」  うねうね、うねうねと。  僕の両手は緑色の絡み合う何本もの触手になっていた。左の触手は地面に着き、右の触手は僕の意志を無視して近くにあるベートーベンの肖像画をつんつん突いている。
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