異変

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ここは……何処なのだろうか。 長い廊下。 真っ暗ではないが、廊下の天井には小さい光が暗く照らしていた。 奥の部屋から、光が漏れている。 それと共に、笑い声。 笑い声? 誰か居るの? そう思い、恐る恐る奥の部屋へと歩く。 「親父。そりゃあ、ないよ」 「何だ。正一(ショウイチ)。本当のことだろう」 二つの男の声。 ドキッ とした。 何故なら、二つの声は私の父と祖父の声だったからだ。 ………だけど、そんなはずはないはずだ。 父はともかく、祖父はもうこの世にいない。 つまり、もう亡くなっているのだ。 なのに、何故? 何故、聞こえる。 少しだけ開いたドアの隙間から、覗いていたら父と目があった。 「あ、皐月。もう起きたんだな」 「お、お父さん…?」 「何だ?何でそんなに驚いているんだ」 「おお。皐月。お菓子でも食べるか?」 驚いた。 父の姿は、とても若々しかった。 また、それ以上に祖父は確かに私の知る祖父だった。 あまりのことで、声が出ない。 「何時までもそんな所に居ないで、寒いから来なさい」 祖父に言われ、部屋の中へと入った。 .
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