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「……ッ!」
トクン トクン トクン
心臓の音が聞こえる。
私の額から、冷汗が流れ落ちる。
「皐月ちゃん?」
ああ――――
あの人の声だ―――
「皐月ちゃん」
聞きたかった声。
もうずっと、聞けないのだと思っていた心地好い声。
「皐月ちゃん」
ゆっくりと、振り向く。
ずっと、逢いたかった。
もしこれが、夢だとすればもう夢から醒めたくない。
もしこれが、現実で本当に私が過去にやって来たのだとするば――――
もう戻りたくない
「皐月ちゃん」
ああ…やっぱり、あの人の声なんだ。
振り向くとあの時のままの姿。
ずっとずっと逢いたかった。
「――――おばあちゃん」
思わず、涙が出てきそうになった。
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