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ガリガリに痩せて、寒さに震えてる。
真っ白と言っても元の白さを想像できるだけであって、泥と雪にまみれてくすんでる。
「……どうしたの?この猫」
「落ちてた」
即答かよ……
「何でケーキの箱に?」
「弱りきってるくせにさあ、触ろうとすると反抗すんの、コイツ。」
「まあ相手がお前だしな」
弱った猫は俺がそっと指先を差し出すと、鼻を近づけてフンフンする。
「何で触れんの!?」
「俺だからじゃない?」
動きはする。
けれど衰弱が酷すぎて、これじゃあ明日生きてるかわからないな。
ズルい、何で、と騒ぐアニキをよそにタオルを熱めのお湯に浸して絞った。
「飼うの?」
そう聞くと、ふと黙りこみ猫からこちらに視線を移す。
「ああ」
「ペット、嫌いなんじゃなかった?」
「だってさあ、明日には死ぬだろ?」
アニキは死ぬって言葉を、簡単に使いすぎる。
「……」
ゆっくり優しく箱から抱き上げ、毛並みに沿って汚れを拭いてやった。
濡れた毛に雪が固まってくっついてる。
「死ぬってわかってんだから飼うよ」
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