夢と未来への奏で

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 そして自分の教室の扉に立ち、勢い良く扉の引き戸を開けると。 「悪い! 遅れました!」 と叫びながら滑り込むように入室する。全速力でここまで来たために肺の空気を大きく取り入れるように息が荒い。呼吸を整えようと前かがみになり手を膝につく。 「柏、遅刻だよー」  自己紹介の入る途中で柏が入ってきたせいか、桜菜氏の一言の後に静かな教室はさらに静寂へと空気を変えてまるで時が止まったかのように感じる。 「だ……大丈夫ですか?」  そんな静寂な空気を優しく裂く、天使のような高く清らかで綺麗な声。柏が呼吸を整えて顔を上げるとその声の持ち主は柏の目を宝石のような澄んだ瞳で見つめる。
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