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どうやって入り込んだのか知らねぇけど、突然部屋の中にいた面識のない男
見た感じはかなりのイケメンで、とりわけおかしな感じも見受けられなかったけれど
年を聞けば、よくわかんねぇなんて言いやがるし
自分は神様だ、なんて言うし
神様とか言うくせに、ここに置かせろ、なんて言うし
そんな完全に頭のおかしな奴を、簡単に受け入れるわけねぇだろ?
今のご時世、様々な巧妙な詐欺まがいの犯罪が溢れかえっているけれど
こんなアホくさい不審者がどこにいるってんだ!
いっそ、アホさが神レベルだな
(…ハァ、どうやってお帰り願おうか…)
どう考えても自分は今、不幸にも完全に頭のおかしな異常者に住居不法侵入をうけているわけなんだけど
事件に巻き込まれている割には、なんだかあまりにもアホらしさが拭えなくて
このアホな自称神様をどうやって追い出そうか、それだけを考えていた
「とりあえずさ、生活費は先に渡しとくから、いい?」
「…へ?」
「どのくらいが相場かよくわかんねぇけど…、とりあえず、こんくらいで足りる?」
――ドサッ
「……はあ!?」
どうやって話を切り出そうか、一人でブツブツと悩んでいると
自称神様はおもむろにジ―パンのポケットに手を突っ込み、分厚い札束を取り出した
「なに…、これ…」
「なにって、金だろ?あ、違ったっけ?円じゃねぇ?」
「いや、そうじゃなくて…」
「やっぱ足りねぇ?ちょい待ち…、まだなんとか…」
「え…?」
一体そのポケットのどこに収まっていたのか、そうツッコミたいけれどできない、そんなありえない金額の万札が目の前に現れて(多分百万くらい?)
驚きのあまり息を呑んで、その札束を見つめていると
それをどう感じ取ったのか、自称神様はおもむろに近くにあった雑誌を手に取り、それを両手で挟みながら目を閉じてブツブツと独り言のような、呪文のような何かを呟いた
「……、ん~~……」
「…―っ、」
「う~……、うりゃああ!!」
「…―ッ!??」
俯いたまま何かを強く念じているっぽい自称神様が、突然おかしな雄叫びを上げて手を振り上げると
宙に舞った雑誌…であったはずのそれが、有り得ないことに、数十枚の万札となって、ヒラヒラと舞い落ちた
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