神様の一日

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  さて、自称神様と一緒に暮らすことになったカズヤ(25歳、会社員)ですが とりあえず、ジンと名乗るその不審者に空いていた部屋を一つ渡して、そこに住まわせることにしました。 ――チュンチュン… (…ハァ―…) 相変わらず、奴に関しての情報は一切わからず、何を聞いても『神様だから』と そんなふざけた答えしか返ってこなかった。 まぁ、こうなった以上、ぐちゃぐちゃ考えても仕方ないし、信用する…ってわけでもないけれど これから一緒に生活していくと決めたからには、それ以上は詮索しないことにして 自称神様のマジシャン見習いってことで(勝手に)納得した。 ―ガチャ 「…う~……」 「あ、…おはよ」 「んぅ…、おは…」 摩訶不思議極まりない一夜を明けて あまりにおかしな出来事に落ち着かなかったのか、いつもより早めの時間に目が覚めてしまって 仕方なしに、いつもよりゆっくりとシャワ―を浴びて、コ―ヒ―を入れて、いつもは食べない朝食の用意なんかしたりして とりあえず、いつもの生活のリズムを整えることに専念した。 ……無意識に用意してしまった二人分の朝食は余計だけど。 「んん~…、あぁ~…」 「…まだ寝てればよかったのに」 「んむぅ…、んああ…」 (まだ寝ぼけてんじゃん…、目ぇ開いてね―し…) 昨夜の出来事はやはり夢ではなかったようで 今まで物置として使用していた空き部屋から 一体どんな風に寝たらそうなるのかと疑問に思うほどの凄まじい寝癖をワシャワシャと掻きながら ほとんど目を閉じたままフラフラとした足取りで 自称神様は現れた。 「なんか…、いい匂い…」 「ああ、目玉焼き焼いたけど…食う?」 「…メダマヤキ…?」 「ああ…うん?」 自称神様は、ケツの半分までずり下がった昨夜俺が貸したスウェットをグイグイと引っ張りながら 眠たそうな瞼をゴシゴシと乱暴に擦って そんなせわしない動きをしながらも、ヒクヒクと朝食の匂いを嗅いでいたもんだから それを食べるかと問いかけると(まぁ元々、食わせるために作ったんだけど) なにやら突然、驚いたように目を見開いた。  
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