神様の一日

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  「メダマヤキって…―っ、俺なんか悪ぃことしたかよ?!」 「…はあ?」 「目ん玉焼くとか、どんな拷問だよ!地獄の業か?!」 「はあああ??」 「さてはお前、サタンの化身か?!マジこぇ―んだけど!」 (お前の頭のがこぇ―よ…) やはりこの自称神様 相当頭が壊れていらっしゃるようです。 「なにがあっても俺の目ん玉はくれてやんね―ぞ!死守するかんな!」 「意味わかんねぇ…」 「人間マジこぇ―んだけど!」 「ハァ……」 自称神様は大騒ぎしながらバタバタとリビングの隅っこに逃げるように後退りして 床に丸まるように座り、ビクビクしながら伺うように俺を見つめていて (マジなんなの…こいつ…) あまりにアホらしくて突っ込む気力も失せるけど なんだかまるで、怯えた犬のようで (家に来たばっかの時って、慣れなくて暴れたりするもんな…) 「…ただの目玉焼きだって、まさか食ったことねぇの?」 「目ん玉なんか食うかよ!悪魔じゃあるめ―し!」 「ハァ…、美味いよ?食ってみ?」 「はあ?!んなもん食えるかよ!」 「大丈夫だって、目ん玉じゃなくてニワトリの卵だし」 「は…?や、でも…」 「ほら、怖くないから…な?」 「………」 どんな生活してたら目玉焼きを食わない人生を送れるのかよくわからないけれど 謎に怯えたままの自称神様の口元に 目玉焼きを箸で一口分つまんで差し出してやると 奴はまだ疑い深い目をして戸惑いながらも 短い沈黙の後、静かに口を開いて 素直にソレを口にした。 ―パクッ…ムグムグ… 「………」 「…な、美味いだろ?」 「……オイシイ…」 「だろ?」 「…うめぇ―!目玉焼きうめぇ!」 「そりゃ良かったな…」 「すげぇ!カズヤすげぇな!こんなうめぇもん作れるなんて神様みてぇ―!」 「そりゃどうも…(つか、うるせぇ)」 つか、神様みてぇって お前が神様なんじゃねぇの? (…マジ意味わかんねぇ…) やはりわけのわからない自称神様のおかげで 朝から無駄に大騒ぎです。  
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