国籍不明な不法侵入者

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  「……なに?」 「…へっ?」 無意識に、色々考えながら奴を見つめていたようで 奴の声に意識を取り戻した瞬間、バチリと音がしそうに視線がぶつかり合って なんとなく俺は気まずさを感じて、すぐに視線を逸らした (……いや、なんで俺がこんな…) とっさに目を逸らしてしまったけれど、考えてみれば、俺がこんなに居心地悪くこの場にいるのはおかしいし 逆に、こいつがこんなにくつろいでいるのはもっとおかしいし 改めて、このおかしな状況に腹立たしさが込み上げてきて 腹を括って、今度はその目力に負けないように、キュッと眉に力を込めて 奴を見上げながら、問いかけた 「…お前、何者?」 「へっ?」 「どこの誰?なんでここにいる?どうやって?目的は?」 「あ―…」 「ちゃんと答えろよ?じゃないと今すぐ追い出すから」 「………」 勢いよく一気に、とりあえずの疑問だけを投げかけて その瞬間に泳いだ奴の視線を逃がさずに、黙り込んだ奴の言葉を無言の圧力で待ち続けると 奴は、渋々というように頭をポリポリと掻きながら、静かに口を開いた 「…とりあえずさ、一個ずつにしてくんねぇ?」 「はあ…?」 「質問、いっぺんにいっぱい言われてもわかんねぇから」 なんだよそれ 答える気になったらしいのはいいけど、なにそのアホなお願いは どんな答えが返ってくるのかと、気を張って構えていたのに 一気に肩の力が抜けてしまった 「…ハァ…、じゃあまず、なんでここにいんの?」 「なんか、引き寄せられて…」 「…はあ?」 何言ってんだこいつ 何言ってんだか全然意味わかんねぇ ……けど、とりあえずは、黙って話を聞いてみよう いきなりツッコミどころは満載だけれど グッと耐えて、話を続けていった  
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