国籍不明な不法侵入者

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  ……神様? マジ、こいつ何言っちゃってんの? アレか、マジで頭とかヤバイ系か? でも、なんでこんな平然としてんの? なに、その当たり前ですみてぇな顔は あ、そうか、本気でアレだからそうなのか (…ヤベェ、マジで警察とか呼んだ方がいいのか?) 見た感じは全然おかしな感じなんかなくて 俺は神様なんて言った後も、普通にビ―ルの残りに口つけたりしてんだけど 逆に、そんな平然とした態度に異常さを感じて恐ろしくなり、少しずつ後退りして距離を広げて逃げ出す準備を整えながら それでも湧き上がる僅かな興味心から、そのおかしな話を掘り下げてみた 「…なんでその、神…様が、こんなとこにいるわけ?」 「なんつ―かさ、休暇みたいな?俺だってストレスとかあるわけよ、お前も仕事してりゃああんだろ?」 「まぁ…、そりゃ…」 「だからさ、たまには下界に降りて羽広げてぇわけ、…ま、俺に羽はないけどね―」 「はぁ…」 はははは、な―んて笑いながら、自称神様はフランクに話しかけてくるわけだけど 全然笑えねぇから 完璧に頭イッちゃってる方でしょ? あまりにおかしな話に、言葉を失って呆然としていたけれど 自称神様はそのまま、聞いてよ聞いてよ!なんて言いながら、仕事(?)の愚痴を続けてて 俺は、この状況をどうしていいかわからずに、頭を悩ませていた (…どうやって追い出す?なんかもう、超言いづらい雰囲気なんですけど……) 「……あのさ、」 「ふぇっ?」 なかなか働かない危機回避能力を、なんとかフル回転させようと一人でもがいていると いつの間にか、自称神様はソファ―を降りて俺の目の前に座っていて 至近距離で俺の顔を覗き込んでいた 「なっ…、なにっ!?」 「あんさ、お願いあんだけど…」 「だから何!?」 「……俺をさ、しばらくここに置いてくんねぇ?」 「…はっ!?」 「俺、ここが気に入っちゃった」 「や、…え?」 「金はちゃんと払うし、迷惑かけねぇし」 や、神様なのにちゃんとお金とか持ってんだ? なんだ、普通の人間と変わんねぇじゃん 変なの ……じゃなくて! こんなわけわからん奴をなんでいきなり俺の部屋に住まわせなきゃなんねぇわけ? マジ、こいつ頭おかしいから!  
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