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タツヤはブンキチの口を掴んだまま、小っちゃい子に言い切かせるみたいにゆっくり喋り始めた。
「・・・・いいか、ブンキチ、お前ぇこそよく考えてみやがれ。
"あんな"のが市中に出て好き勝手にうろついてみろ・・・・それこそ商売上がったりじゃねぇか。
人っ子ひとり出歩かねぇ街の店に客が来るか?あ?」
これは酷い、かなり酷い、酷すぎる言われようだ。
"あんな"の部分ではアタシを見もせずに、顎で指されてしまった。
まるで猛獣かヒバゴン扱い!
名誉を掛けて直訴せねば!
アタシはディヤッ!と、ロケットのように右手を振り上げ声を張り上げた!
「ちょ!おぉ・・・・・ぉ」
けれど、発射直後に失速してしまった。
アタシの抗議は言葉になる前に、1人と一匹の鋭すぎる目ヂカラに撃ち落とされてしまったのだ・・・。
無言の圧力ビームに萎れてしまう。
そんなアタシを見もせず、タツヤは吐き捨てるみたいに宣言した。
「俺ぁ店主だ。
店ぇ守る為なら何だって耐えてやらぁ!」
ふん、とブンキチから手を離すタツヤ。
ぉお!男らしい!
"いなせ"だ!!
・・・・まぁ何か喋ると狙撃されるから言ってあげませんけどねっ。
しかし、そんなふうにいじけ始めたアタシをガン無視して1人と一匹の話は纏まったようだった。
「旦那の、お考えは、よおっく分かりやした・・・」
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