桜の樹の下には

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見つめられた視線から、 握られた手から、 掛けられたら言葉から、 2人の優しさが流れ込んできて心に溜まる。 それはやがて溢れて、目からボロボロと零れていた。 「坊・・・」 お姉さんが優しく柔らかに、頬を拭ってくれる。 「・・・男が泣くな・・・」 狼さんがグリグリと、不器用に頭を撫でてくれた。 たぶん、この人は乱暴なんじゃなくて力加減が下手なだけなんだ・・・。 「坊、男が泣いていいのは・・・・」 「ひぐっ・・・親が、死んだ時だけですか・・・?」 「いや・・ 失恋した時だけだ」 轟く乙女発言に涙が逃げ出した。
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