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ルイは17歳で、学校に行かず働いている。
ルイが5歳の時に母親を亡くし、また今から一年前の冬に父親を亡くした。
親戚が引き取ろうとしたが、6つ年上の姉のエリザベスがそれを拒否した。
エリザベスがそうしたのは、他人と同居するのに抵抗を覚える程の、姉弟にしか理解出来ないある共通した嗜好が大きな原因だった。
サディスト。
エリザベスとルイは、その類の人間だった。
それは、その傾向がある、という程度の一般的な人とは違い、当人達も自覚する明らかなものだった。
エリザベスは、自分より年下の少年を好み、少年が痛がる何らかの仕打ちを受けることに喜びを感じる。
そしてルイは……。
(俺はまだ、どうすればいいのか良く解らない)
自分の体に渦巻いているものについて完全に自覚はあるものの、実際にそれを『発散』して、『納得』出来るのがどういうことなのか、まだはっきりとは解らないでいた。
(パートナーが要る)
ルイはそう思っていた。ただそのパートナーがどういう人間になるかも解らなかった。
女なのか、男なのか。
大人なのか、子供なのか……。
「危ねえって。最近この辺、治安悪いらしいじゃん」
甲高い若い男の声がして、ルイは顔を上げた。
「こないだも14歳くらいの男の子が全裸で見付かったんだろ?」
ドクッ
「おい、お前そんなこと言うなよ。犯人まだ捕まってないらしいぞ」
「だから早く帰ろうって。全身痣だらけで泣いてるとこを保護されたって言ってた」
ドクッ ドクッ…
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