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彼女とはまだ話をしたこともない。
最初は一目惚れだった。
容姿端麗。才色兼備。水瀬さんが白百合学園に入学してまもなく、彼女を知らない人はいないというくらい有名になっていた。
夏期休業に入る数日前には、二学年のイケメンで非公式のファンクラブなんていうのもある羽霧先輩からの告白を断ったのは一大ニュースとして学園内を賑わせたりもした。
あたしが初めて水瀬さんを見たのはちょうどその頃だった。
音楽の授業は移動教室で音楽室で行うため、あかりちゃんと一緒に向かっていた時だった。
向かい側から歩いてくる水瀬さんを見た瞬間にあたしの体をビビッと電流が駆け巡った感じがした。
まるでどこぞの国のお姫様か、大企業の令嬢のような雰囲気を漂わせながら、隣を歩く友達と楽しそうにくすくすと談笑しながらあたしの横を通り過ぎていった。
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