458人が本棚に入れています
本棚に追加
「桜っ!!あの時は包丁でも魅力的だったけど、殴打でもあの時はよかったでしょうが!」
「へうっ!お兄ちゃんごめんなさい……」
俺は自分の部屋で桜を叱っていた。
二年前の事故以降、何故だか大ケガをしないでいる。
ケガらしいケガは一ヶ月に一回ペースでくる光希の噛みつきチューチュー位だ。
桜と梅(双子の妹の妹の方)にいつも嫉妬を抱かせ襲わせてるが、ママンやパパや他の多数の障害に阻まれ、最大のケガがおでこを切った程度である。
「お兄ちゃんを縫い止めたいなら本気で殺ること!!じゃないとホイホイ光希についていくからな!」
「はいっ!お兄ちゃん!」
桜はとても良い返事をした。
「ほれ良い子良い子」
俺は妹の頭をそっと抱いた。
「えへへ……」
桜は幸せそうな声をあげていた。
「兄さん、喰らってください」
「のぅっ!」
頭に衝撃が走った。
何か少し大きくて固い物をぶつけられたようだ。
「兄さん……また隣の雌豚と帰ったのですね」
「梅か……GJだ」
どうやら頭に投げつけられたのは目覚まし時計らしい。
いい選択だ、センスを感じる。
「聞いているので…すか…?」
あまりにも痛かったので、嬉しくなって梅を抱き締めた。
「梅も良い子だ…桜も頑張れ!!」
「はっ…はいっ!お兄ちゃん!!」
これが山田家の日常だ。
普通じゃないのは知っているが、俺にとっては理想郷である。
.
最初のコメントを投稿しよう!