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「そうではない、小娘。残っていた女子供はどうしたと聞いているのだ。その中に、貴様等一族の長が居たはずだ。死にたくなければ正直に答えるが良い」
兵士達が取り囲み、抜き身の剣を向けられる。それでもリアンノンは気丈に振る舞う。
「村のみんなは……少し前に出かけました。この村には私しか居ません」
「夜明け前の暗闇の中を、皆で出かけただと?」
リアンノンの言葉を聞いたドルウクの顔には、くっきりと青筋が立って見える。
「ふざけるな小娘!指を一本ずつ切り落としていかねば、分からぬようだな?もう一度聞く。村の連中は?お前達を統べる者はどこだ?」
「嘘じゃありません。村に残っているのは私だけですし、父様が亡くなって以来、この郷には、一族の長と呼ばれる者は居ません」
手に握っている物の相手に見えない様に隠しながら、戦戦恐恐としながらも続ける。
「今は兄さまが、一の戦士として、皆を纏めています。いずれ、私の夫となる方が、一族を統べる事になってますけど……」
「……何だと!?族長の娘と言ったか!?」
リアンノンの言葉に何故かドルウクは驚いた。
「……ならば貴様の様な小娘が、エリンに名高い神託の巫女とでも言うのか!?」
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