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深い森の中、ゲール族が狩り場としている森の中、ひとりの少年が、輝く星空を眺めていた。
「……リアンノン……元気にしているか?我が妹よ」
少年はアルサルといい、ゲール族一の戦士。何よりも、妹、リアンノンと制約を大切にする少年だ。
アルサルは空を見上げ語る。
そばに誰かが居れば、まるっきり怪しい人だが、今、青年の近くには誰も居ない。
「どうしてだろうな……村を空けるのは初めてじゃないのに……」
--今夜に限って、妙な胸騒ぎがする。心安らぐはずの星空が、ざわついている様に見える。
…俺には、お前のような予言の力は無いはずなのにな………
「リアンノン……に~ちゃんは心配だぞ」
タッタッタッタ
後ろから足音が近づいて来る。
「アルサル、何、ぼぉっとしているっ!」
話し掛けてきたのは元気一杯な少女。
少女の名はモルガン。アルサルとは幼なじみで弓の名手だ。
「お、おう、ちょっとな」
勢いに負けて少々返事がおどってしまう。
「どうせリアンノンの心配だろ?妹離れしないのも、いい加減にしたほうがいいぞ?」
「うるさい!…で、どうだった?」
「へへん。聞いて驚くな!猪がうようよいるぞ!夜遅くまでねばったかいがあったな」
どこか得意げに言うモルガン。
「それじゃ、ゲールの戦士団に始めさせろ」
アルサルは腰にかけてある鞘から、剣を抜きながら更に言う。
「こっちに来た奴らは、俺とお前で狩るぞ?」
「おう!任せとけっ!」
やる気十分元気一杯に応えるモルガン。
「いくぞっ!」
「応!」
二人は、突進して来る猪の群に、飛び込んで行った。
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