第一章 目覚めの凱歌

4/10
前へ
/10ページ
次へ
 ザンッ 最後の一匹をアルサルが斬り倒した。 「やったなっ!これで当分食べ放題だっ!」 「………」 喜ぶモルガンに対して、アルサルは浮かない顔をしている。 「どーした?浮かない顔だぞ?」 「……何だろう……今夜はずっと、変な感じがするんだ。」 独り言を言う様に、小さな声で呟く。 「村を空けすぎた気がする……今の村には女子供しか残っていないのに!」 そんな不安をモルガンは笑い飛ばした。 「あはは、この辺りで誰が襲って来るって言うんだ?あたしたちゲール族と猪くらいしか居ないぞ」 「わからない……」 「山賊でも出るのか?帝国の連中は港の側にしか居ないし、あたし達とはど~めいしているんだろ?」 正しくは同盟だ。 モルガンの様に笑い飛ばせれば一番いいのだろうが、不安は収まる所か、徐々に増していく。 「わからない……」 一度、目を瞑り、少し考え、開く。 「……とにかく、狩りは中止する!急いで村に帰るぞ!!」 「アルサル!?」 決めた事は即実行。この場のリーダーを務める者として、モルガンに指示を出す。 「これは一の戦士としての命令だ!ゲールの戦士団にも伝えてくれ!!」 「わ、わかった。すぐ帰ろう!お前がそこまで言うんなら、何かあるんだろ!」 驚いたモルガンだったが、一瞬の後に我にかえり、己に課せられた仕事をこなすために走り出した。 「待ってろ、すぐに伝えてきてやる!!」 モルガンの姿が見えなくなり、また星空を見上る。 「……リアンノン、どうか…リアンノン無事でいてくれ」 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加