第一章 目覚めの凱歌

5/10
前へ
/10ページ
次へ
 村の出入り口付近に15、6歳位の少女と、10歳位の男の子と女の子が居る。 「いってらしゃい」 「リアンノンね~さまは行かないの?」 「キノコ狩りに行くの、あんなに楽しみにしてたのに」 子供たちの問に、リアンノンは、なるべくいつも通りに言う。 「うん。今日はね、私、村に居なくちゃいけないの。今夜は、託宣の時だから……」 「たくせん?」 言葉の意味が分からなかったのか、女の子は首を傾げた。 「あ、えっとね、夜空をずっと眺めて、お星様が教えて下さった運命を、見定めなきゃいけない日なの。ゲール族の巫女として……村を代表する者としてね」 「そうなんだ。お星様見てなきゃいけないんだ……」 残念そうに言う女の子と、言葉にはしないが、眉がハの字に下がっている男の子。 元凶のリアンノンもコレには苦笑して宥めるしかない。 「ごめんね。私が勝手に『今夜行かなきゃ!』なんて、キノコ狩りの予定を早めちゃったから……本当は、に~さま達が村に戻ってきてから、みんなで行くことになっていたもんね。そうしたら、一緒に行けたのにね」 しゃがみ込み、2人の頭を撫でながら言った。 「うぅ……ざんねん」 「でもでも、今すぐに出かければ、い~ぱいキノコが取れるよって、占いで出てたからね!今夜出かけることは、すっごくすっごく、みんなのためになるの!」 更に暗くなってしまった子供たちを元気付ける為に、より明るく言う。 「だからね、急いだ方がいいよ!私の分まで、いっぱいキノコ取ってきてね?」 「うん、わかった!」 ようやく納得がいったのか、子供たちは笑顔になった。 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加