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村の出入り口付近に15、6歳位の少女と、10歳位の男の子と女の子が居る。
「いってらしゃい」
「リアンノンね~さまは行かないの?」
「キノコ狩りに行くの、あんなに楽しみにしてたのに」
子供たちの問に、リアンノンは、なるべくいつも通りに言う。
「うん。今日はね、私、村に居なくちゃいけないの。今夜は、託宣の時だから……」
「たくせん?」
言葉の意味が分からなかったのか、女の子は首を傾げた。
「あ、えっとね、夜空をずっと眺めて、お星様が教えて下さった運命を、見定めなきゃいけない日なの。ゲール族の巫女として……村を代表する者としてね」
「そうなんだ。お星様見てなきゃいけないんだ……」
残念そうに言う女の子と、言葉にはしないが、眉がハの字に下がっている男の子。
元凶のリアンノンもコレには苦笑して宥めるしかない。
「ごめんね。私が勝手に『今夜行かなきゃ!』なんて、キノコ狩りの予定を早めちゃったから……本当は、に~さま達が村に戻ってきてから、みんなで行くことになっていたもんね。そうしたら、一緒に行けたのにね」
しゃがみ込み、2人の頭を撫でながら言った。
「うぅ……ざんねん」
「でもでも、今すぐに出かければ、い~ぱいキノコが取れるよって、占いで出てたからね!今夜出かけることは、すっごくすっごく、みんなのためになるの!」
更に暗くなってしまった子供たちを元気付ける為に、より明るく言う。
「だからね、急いだ方がいいよ!私の分まで、いっぱいキノコ取ってきてね?」
「うん、わかった!」
ようやく納得がいったのか、子供たちは笑顔になった。
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