第一章 目覚めの凱歌

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「そして、明星さまも……」 心を澄まして、私は見つめました。私たち一族の……護り星を。  それは、夜明け前の空に、ひときわ高く輝き続けるお星様。 『明星さま』と、言い伝えで呼ばれる、私たち一族の古い古いお友達です。 真実を明らかにする、厳しく凍える光、誰をも寄せ付けない、白銀の冴える光は、 とても清らかで誇り高く……でも……どこか寂しそうで…… 小さな頃から、ずっと私は、仄かな憧れと、微かな胸の高まりを感じながら、何時までも眺めていたものでした。  多分、そんなにも星に惹かれたのは、生まれつき私に備わっていた、不思議な力の所為なのでしょう。 星の流れを読んで、この先起こる事を占うことが、私には出来たのです。 兄さまによると、それは、魔法よりも珍しい力で、私たちな血筋に良く現れる、とてもとても誇らしい証なのだそうです。  確かに、この先起こる事が少しでも分かるのは、素晴らしい事でしたが……同時に…… 「……っ」  星々が僅かにまたたき、私は、ハッと息を呑みました。 運命の時が訪れた事を告げています。 「お願いします。どうか、私の願いを聞き届けて下さい……」 ずっと見つめ続けてきた、たった一つのお星様に祈ります。 「この危難を乗り越える強い意志を……何が起ころうとも、恐れず、怯えずに、それを成し遂げる勇気を……私に与えて下さい」 手をぎゅっと、握りしめます。小さくて、ひんやりとした鋼がそこに有ります。 「皆に訪れる悲しい運命を、密やかに剥ぎ取ってしまいたいのです……私だけで終わりにしたいのです。だから…どうか…お願いします。明星様」 私は何度も繰り返しお祈りします。 でも、お星様は、とても遠く、高い所に在って…… 私の声は届きそうにありません。 .
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