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「優っ! 起きなさい。今日から学校よ?」
「んん……待って。もうちょっと…」
そう言って芋虫のように体を蠢かせていると、布団を剥ぎ取られる。
「遅刻したらどうするの。朝ごはんできてるから早く降りてきなさいよ!」
強い口調でそれだけ言うと母さんは俺の部屋から出ていった。
眠い眠い眠い。
布団っ! 布団はどこだ!?
目を閉じたまま、手探りで掛け布団を探していると下で母さんからの催促の声がした。
仕方ない、起きるか。
欠伸をして部屋から出ると、鼻を刺激するおいしそうな匂いがした。
ゆっくりと階段を降り、匂いの元へ辿ると普段よりも豪華な朝食がテーブルに置いてあった。
「あれ?なんか量多くない?」
「今日は優の入学式だからねぇ。いっぱい食べて、元気に行かないと! 第一印象は大事よ?」
…あぁ。
そうだった、忘れてた。
今日から高校生活の始まりか。
ちっとも嬉しくない。
学校なんて将来のために仕方なく行くだけの場所だ。
思わず溜め息をついて、椅子に座る。
「いただきます」
「あっ! 洗い物大変だから残さないでね」
もう一度溜め息をついた。
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