第6章 怪童の影

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御堂高校のトップバッター中村庄太が左打席に入った。 「初回に4点か。よく攻めたな。だが問題は御堂の攻撃なんだよね。」 真田監督は不安そうに言葉をこぼした。 「たしかに御堂は打撃のチームですからね。 大会の成績を見ましても失点の倍くらいは打ってますからね。でも楓くんも黙ってないですよ。」 柊マネージャーは不敵な笑みを浮かべながら話した。 「楓か。確かに器はあるんだが花開くまでにはもう少し時間がかかるだろう??」 「そうでしたね。監督はブルペンにいなかったですから楓くんの球は見てないですもんね。たぶん驚きますよ。」 話しているうちに試合は再開した。 「プレイボール!!」 「しまっていくぞー!!!」 「おう!!」 『行くぞ楓!!まずは外角にストレート。』 『オッケー!!』 大きく振りかぶり綺麗なスリークォーターからストレートを投げ込む。 シュッ・・・ズドーン 「ス・・・ストライク!!」 『なっ!?速い・・・』 中村は全く反応できない。 「驚いた・・・まさかここまでとは・・・」 真田監督も驚きを隠せない。 微笑みながら柊マネージャーが口を開く。 「驚かれたでしょう。でも監督、あれはまだ楓くんの全力ではありません。」 「何!?じゃぁまだ球は速くなるのか??」 「そうです。ただこの試合では全力投球はあまりしないように言ってます。まだフォームにも慣れたばかりでしっかり固まってませんから。」 「そ・・・そうか・・・」 楓はテンポよくストレートを投げ込む。 シュッ・・・ズドーン シュッ・・・バシーン 「ストライクバッターアウト!!」 「楓ナイスボール!!」 周都が言葉をかける。 続く2番、3番も三振に抑え楓は完璧な立ち上がりをみせた。 「楓見違えたな。ナイスピッチングだ。」 「ありがとうございます。」監督の言葉に楓は笑顔で答えた。
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