第6章 怪童の影

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続く3回裏も楓は完璧に抑え、4回は互いに三者凡退、そして5回の表の庄栄の攻撃も無得点に終わり、いよいよ田山の二打席目を迎えた。 『5回裏で5ー0か。データ的にはあの田山って打者は2打席目のホームランが多いけど5点差で、ランナーもいないし打たれてもまだ4点あるから気楽に・・・いやいやダメだそんなんじゃ抑えるぞ!!』 「さぁてこの試合はどうかな佑介よ。」 田沢監督がベンチで呟いた。 「お父さ・・・じゃなかった監督。わざわざ一打席球筋確認させなくてもいいんじゃないの??もったいなくない??」 渚が父である監督に言う。 「しょうがないだろ、本人がそうしたいって言ってるんだ。実際二打席以降は打ってるし。」 「そうだけど打てなかった試合もあるじゃん・・・」 渚が心配そうに打席を見る。 『まぁ愛しの楓くんだから打てなくてもいいけど。』 一人でニヤニヤしながら渚は楓の姿を見るのだった。 『さて、この打席も凡退してもらいましょうかね。 内角低めにストレートな!!』 『了解!!』 シュッ・・・ 「もう見切ったよ・・・」 「何!?」 カキーン・・・ 打球はバックスクリーンに突き刺さった。 楓はバックスクリーンを呆然と眺める。 周都がマウンドにやって来た。 「すまん。もっと慎重に行くべきだった。リードミスだよ。」 「大丈夫だよ。まだ4点差もあるしここから抑えりゃいいんだから。」 「そうか・・・そうだな。よし慎重に丁寧に行こう。」 「オッケー!!」 楓は崩れることなく続く5、6、7番を抑えた。
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