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宿舎に帰った楓は周都とグラブを持って宿舎の庭に来ていた。
「楓!!ムービングファストボール覚えるのか??あれが投げれるようになれば大きな武器にあると思うぜ!!」
周都は笑顔で尋ねた。
すると楓も口を開いた。
「まだどうしようか考えてるんだけどさ・・・実は、もう1つ新球があるんだよ。監督も柊さんも知らないんだけどさ・・・。」
「そうなのか!?どんな球だよ??ちょい投げてみて!!」
「あぁ。まだ完全には完成してないけど、なんとか変化するようにはなったんだ。いくぞー!!」
楓が振りかぶって投げようとした・・・その時!!
「よう!!藤堂楓!!」
「あなたは・・・」
「御堂の4番の人じゃないですか・・・えっと確か・・・」周都は名前が思い出せない。
「田山佑介だよ。ところで藤堂、最後に投げたあの奇妙なストレート・・・あれ何だよ??」
「企業秘密に決まってんだろ!!敵に教えるわけないっしょ!!」
周都が答える。
周都の言葉に田山は笑いながら言った。
「そうかい。まぁなんでもいいや。それよりあの球、まだ完成してないんだろ??さっきの試合で1球しか投げなかったしな。お試し期間ってところか??
案外ストレートを投げ損じてたまたま曲がったってところかな。」
田山を不敵な笑みを浮かべ続ける。
「とにかく、今日は負けたが本番じゃそうはいかないぜ。藤堂のストレートはもう俺には通じない。そして美咲だったかな・・・
そこの4番のお前。桧山の球打ったからっていい気になるなよ。あいつはうちのエースじゃねぇ。」
「そんなこと分かってますよ。あのピッチャーでベスト16まで勝ち上がれるなら、この地区のレベルなんてたかが知れてるぜ。」
周都も負けずに言い返す。
「なかなか言うじゃねぇかよ美咲。まぁいいさ。俺は別に喧嘩しにきた訳じゃねぇんだよ。
もともと俺は藤堂に用があって来たんだ。
藤堂、俺は地区予選こそ4番だったが、本来は3番なんだよ。今は怪我で練習に出れてないが御堂の真の4番は他にいる。俺を抑えられないんじゃ、あいつに打たれちまうぞ!!せいぜいあの奇妙な球を自分の物にするんだな。」
そう言い残して田山は行ってしまった。
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