第2章 分岐点

9/17

101人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
対戦相手は隣町の神坂南中学校だった。 何回か練習試合もしたことがあったし、お互い顔見知りの連中だった。 それでも練習試合はうちが大きく勝ち越していたので、みんなどこか余裕な雰囲気があった。 開始早々神坂第一中の攻撃が火をふく。 初回に2点、2回に2点 5回に3点、7対0と大きく突き放した。 誰もが余裕を浮かべていた時事件は起こった。 6回の裏神坂南の攻撃 ツーアウトランナーなしから神坂南の4番が痛烈なピッチャーライナーを放った。 カキーンという綺麗な金属音のあとドコッっと鈍い音が響いた。 うちのエースの右肩に当たった。しかしうちのエースもなんとかボールを拾ってアウトにした。 その回は終了したがベンチに戻ったエースの表情は険しい。 続投は不可能だった。 そして顧問の口から待ち焦がれた一言が出る。 「藤堂、準備してくれ。最終回行くぞ。」 俺は胸が踊った。 ブルペンで周都とキャッチボールをして肩を作る。 俺には自信があった。この数ヶ月とにかく練習した。練習試合でも結果を残した。 しかも点差は7点でアウト3つとればいいだけ。 余裕だと思っていた。 しかし数十分後俺はベンチで鳴き崩れていた。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加