第6章 怪童の影

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「なんかごめんなさい・・・気を遣わせちゃったみたいで。」 相変わらず顔を真っ赤にして言った。 「あぁいいんだよ。あいつバカだから・・・」 しばしの沈黙の後楓が口を開いた。 「ここにいるのもあれだからどっか座ろっか。」 梨華もそれにうなずき二人は歩きだした。 少しあるくと自動販売機やベンチのあるところに辿り着いた。 二人はベンチに腰をかけた。 また沈黙が流れる。 すると梨華が口を開いた。 「久しぶりだね。元気にしてた??」 「あっ、うん元気だったよ。唐川さんも元気だった??」 「うん、最初は大変だったけどだいぶ慣れたかな・・・」 「そっか・・・なんで野球部のマネージャーに??」 「えっ!?・・・それは・・・」 『楓くんに少しでも関わっていたいからなんて言えないよぉ・・・どうしよ・・・』 梨華は黙りこんでしまったが楓が口を開いた。 「でもそのお陰でこうして会えたし良かったよ。」 「あっ・・・そうだね。まさか合同合宿をすることになるなんて思ってなかったなぁ。」 「そうだよね。でもいい刺激になるよ。試合もできたし。」 「そうだよね。藤堂くん凄いピッチャーになったよね。球も速くなったし、ちょっと投げ方も変わったみたいだし。」 楓は驚いた。 「フォームが変わったってよくわかったね。初めて唐川さんの前で投げたのに。」 「中学の試合も・・・見てたよ・・・ずっと・・・。」 「えっ・・・!?」 また沈黙が流れる。 「中学の試合・・・公式試合だけだけど、円香と応援に行ってたんだ。だからずっと見てたの・・・。」 楓は何も言えなかった。 楓の顔を見て梨華が慌てて言った。 「その・・・円香が美咲くんの応援に行きたいって。だから私もついて行ってたの。」
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