第2章 分岐点

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マウンドにのぼると沢山の声援が俺に向けられた。 クラスメートの黄色い声援、父母会の方々の多きな拍手、地域の人達の応援。 俺の中のアドレナリンが一気に放出された。 投球練習までは普通だった。 プレイがかかったとたんそれはやってきた。 『やべ緊張してきた。』 気づいた時には遅かった。緊張で何も聞こえない。 キャッチャーのサインもよくわからない。 日頃の練習と練習試合で得た自信は一気にぶっ飛んだ。 普通中学生の試合で、しかも地区予選の1回戦でそうポンポンとヒットが打たれるわけではない。 相手が優勝候補ならまだ分かるが明らかに格下のチーム。 しかし公式戦の雰囲気というか、野球の神様のイタズラというか、そう簡単に勝たせてくれないのが野球。 気がついたらフォアボールの連発だった。ノーアウト満塁から押しだし、ヒットの連続で、みるみるうちに点差は縮まり、我に帰ったときにはもう負けていた。
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