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田中は身長が160㎝あるかないかの小柄な体格で、ホームベースぎりぎりに立ち、膝を曲げてさらに体格を小さくみせた。
『小さいな・・・。なんか投げづらいな。』
身長が低く、高低のストライクゾーンも小さく見え、さらにベースぎりぎりに立って、ベースに被さるように立つ田中。
投げにくくなるのもわかる。
1球目はストレートのサイン。
楓は外角を狙い投げた。
シュッ・・・!?
「ボール!!」
楓が投げたボールは外角のさらに外、周都が捕球もできないほど外れてしまった。
「楓・・・投げにくそうだな。」
ベンチで真田監督がぼやく。
「柊マネージャー、あのバッターのデータは??」
真田の問いかけに柊はノートをめくり始めた。
「田中智宏、唯一の1年生で身長は159㎝、チーム1俊足で50メートル走のタイムは5秒6です。」
「なるほど。フォアボール狙いの可能性もあるな。塁に出したら嫌な選手だ。周都はそのデータを知ってるのか??」
「はい。記憶してると思います。何か伝令しますか??」
「いや、大丈夫だろう。周都がなんとかするさ。」
しかし真田監督の期待とは裏腹に周都には何の考えもなかった。
周都はとにかくストレートのサインを出す。
楓もなんの策もないのかそれに応じるが2球目、3球目と外れ0ー3となった。
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