第7章 公式戦

23/29
前へ
/141ページ
次へ
田中は身長が160㎝あるかないかの小柄な体格で、ホームベースぎりぎりに立ち、膝を曲げてさらに体格を小さくみせた。 『小さいな・・・。なんか投げづらいな。』 身長が低く、高低のストライクゾーンも小さく見え、さらにベースぎりぎりに立って、ベースに被さるように立つ田中。 投げにくくなるのもわかる。 1球目はストレートのサイン。 楓は外角を狙い投げた。 シュッ・・・!? 「ボール!!」 楓が投げたボールは外角のさらに外、周都が捕球もできないほど外れてしまった。 「楓・・・投げにくそうだな。」 ベンチで真田監督がぼやく。 「柊マネージャー、あのバッターのデータは??」 真田の問いかけに柊はノートをめくり始めた。 「田中智宏、唯一の1年生で身長は159㎝、チーム1俊足で50メートル走のタイムは5秒6です。」 「なるほど。フォアボール狙いの可能性もあるな。塁に出したら嫌な選手だ。周都はそのデータを知ってるのか??」 「はい。記憶してると思います。何か伝令しますか??」 「いや、大丈夫だろう。周都がなんとかするさ。」 しかし真田監督の期待とは裏腹に周都には何の考えもなかった。 周都はとにかくストレートのサインを出す。 楓もなんの策もないのかそれに応じるが2球目、3球目と外れ0ー3となった。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加