第2章 分岐点

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俺がリビングを出ていったあとも真田さん達は帰らず、両親と話しをしているようだった。 父がため息をつきながら口を開いた。 「楓は俺の知らないところであんなこと悩みながら野球をしていたんだな・・・ちっとも気づいてやれなかったな。親父として失格だな・・・」 そんな父をみて今まで一言も話さなかったマネジャーの柊優が口を開いた。 「雄斗先輩、そんなに自分を責めないでください。確かに楓くんの気持ちに気づいてやれなかったことは父親として悔やむかもしれませんが、楓くんは先輩を否定したわけではありませんよ。 それに楓くんは自分の力を欲しいと言ってくれる高校があればそこで本気で野球をやりたいと言ってました。その意味が分かりますよね?」 父はえっ?という顔で優を見た。 「自分の力を、いえ自分のことを先輩の息子ではなく藤堂楓として周りに認めさせようとしていたんです。彼はまだ中学生です。大人に影でそんなこと言われたら逃げ出してもおかしくない、むしろ逃げ出すのが当たり前という状況で彼は頑張ってたんですよ。野球の力は確かに同学年と比べても普通ですが、精神力だけはピカイチです。そして精神力がピッチャーにとって一番大事だと言ったのは先輩です。もっと楓くんに誇りを持ってもいいと思いますよ。」 父はとたんに笑顔になった。ほんとに単純な父親だ。
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