第3章 それぞれの決意

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夕食の後父さんは真田さんに連絡していた。 話しが盛り上がっているのか、時折笑い声が聞こえる。 俺は食器を片付け終えお茶を飲んでいると母さんが俺の隣に座って話しだした。 「母さんは昨日の夜確信していたわ。楓はたぶん高校になっても野球を本気でするだろうってね。それが庄栄学院かどうかはわからなかったけどね。」 「どうして??」俺は尋ねた。 「昨日怒鳴っていた時の楓の目、昔のお父さんと同じだったのよ。」 「昔の父さんって??」 俺はさらに追及した。 「お父さんより2つ年上のお兄さん、雄介さんわかるわよね??」 俺は小さく頷いた。 俺が小学生の時に癌のため亡くなった。 「雄介さんも高校の時野球をしていたの。雄介さんはお父さんのお兄さんであり、幼なじみの私にとってもお兄さんみたいだったわ。そもそもお父さんが野球を始めたきっかけは、雄介さんが野球を始めたからなの。雄介さんが中学3年生の時、お父さんは中学1年生でね、同じ野球部で、1年だけだけどチームメートだった。 あのころは二人とも有名だった。神坂に藤堂兄弟ありってね。 お父さんがエースで雄介さんは4番。雄介さんが打ってお父さんが抑える。それが神坂第一中の必勝パターンだった。あの頃は強かったわ。全国大会にはあと1歩で出れなかったけどね。」 俺は食い入るように聞いていた。
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