第3章 それぞれの決意

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「正確には山蔭高校に行くつもりだった。でも悲劇は起きた。夏休みが終わるころお父さんのお父さん、楓のお祖父ちゃんが倒れたの。入院して寝たきりになってしまったの。家にはお婆ちゃんしかいないでしょ。雄介さんは東京の大学に進学することがほぼ決まってたから、お父さんは大阪に行くことをあきらめて地元の神坂第二に進学することにしたの。中学校の時のチームメートもほとんどか神坂第二に進学するみたいだったからね。それでもお婆ちゃんを始め全国のスカウトはお父さんを説得しにきた。自分の才能を埋もれさせてはいけないと。でもお父さんはこう思ってたの。中学校の全国大会に一緒に行ったメンバー達が殆ど一緒に神坂第二に行くんだから甲子園も夢じゃないと。それをある高校のスカウトに言ったの。そしたらそのスカウトはこう言ったの。『あんな連中と一緒にいては甲子園なんかには行けない。自分の才能に気づきなさい』と・・・。そしたらお父さんはそのスカウトの人に怒鳴ったわ。昨日の楓とまったく同じ目をしてね。『あんな連中だと!?あんたに何が分かるんだ!!俺たちが必死でがんばった3年間の重みがわかるか??俺はあいつらをあんな連中などと言う人がいる高校なんかで野球はしない。失礼します!!』と・・・。 ちょっと理由は違うけども似たような感じでしょ?? お父さんは仲間を否定され、楓は楓自身を否定された。でも楓も最終的には仲間と野球することを選んだわ。やはりあなたちは親子ね。」 そう笑顔で言うと、父さんがやってきた。
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