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家に帰ると、父はリビングで新聞を開き、母はキッチンで忙しそうに動いていた。
「おぉ楓、おはよう。朝から走り込みか??」
「うん、久しぶりだったから軽く流す程度にね。」
俺は扇風機の前を陣取って汗を拭きながらそう答えた。
「投手にとって走り込みは大事だからな。ただ投げ込みもしっかりやらんとな。」
そこから父がもの凄い勢いで野球を語り始めた。
俺は父の野球の話を聞くのが実は結構好きだったりする。
地元で有名の元エースのアドバイスはやはり的をついているし、なによりタメになる。
父と語っていると、母の声が聞こえてきた。
「朝食の準備ができましたよ!!」
父は待ってましたと言わんばかりの勢いでキッチンの方へと急いで行った。
朝食をとりながらまた父の話が始まる。
しかし母がその話に待ったをかけた。
「あなた、楓、野球の話もいいけれど、大事なこと忘れていない??
とくに楓、あなた勉強は大丈夫なのかしら??」
不敵な笑みを浮かべながら母が俺に言ってきた。
「勉強!?だって庄栄に野球推薦で行くんだから試験も何もないんじゃないの??」
俺は何言ってだよって勢いで母に言ったが、母はまだ笑みを浮かべたまま続けた。
「楓、勘違いしているようね。真田さんは確かにスカウトに来たけど、野球推薦をしてくれるなんて事は少しも言ってなかったわよ。
はっきり言ってあなた余裕浮かべてる暇ないわよ。」
うそ~!?!?!?
そんなの聞いてねぇよ・・・
ってかヤバイって!!俺バカなんだって・・・
「終わった・・・。」
俺は小さく呟いた。
母は俺に追い込みをかけるように続ける。
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