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扉を開けるとそこには両親と知らない男性と女性がいた。
頭を軽く下げ父の隣に座った。
何秒だろうか、嫌な沈黙が流れるなか男性が口を開いた。
「こんばんわ藤堂楓くん。私は来年度から私立庄栄学院の野球部監督を務めることになった真田正治(さなだしょうじ)と申します。こちらはマネージャーの柊優(ひいらぎゆう)です。どうぞよろしく。」
二人が軽く頭を下げたので反射的に俺も頭を下げた。
そして俺が口を開く。
「庄栄学院って来年度からの新設校ですよね?その野球部の方が俺にどんな用事でしょうか?」
なぜか挑戦的な口調で言ってしまった。
それを見て父が顔をしかめる。
「楓、初対面の方に失礼じゃないか。すまんな正治。気分を悪くしないでくれな。」
「いや、楓くんの反応が普通だろ。いきなり訳のわからんおっさんが目の前に現れるんだから。」
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なんでこんなに親しいの?
頭の中の疑問より口が動く方が早かった。
「この人父さんの知り合い?」
「あぁそうだ。中学、高校と同じ学校でチームメートだった。昔の球友といったところだ。」
父は俺と同じ神坂中学出身で神坂第二高校に進学し野球部に所属していた。父さんは神坂第二のエースで3年の夏に地区大会準優勝したと。今の神坂第二が強豪校に成長したきっかけになった。
俺が野球をするなら神坂第二と決めている理由も少なからず父の影響があった。
父は自分が野球していたからといって息子である俺に野球をするようには言わなかったが、何度か試合を見に連れていかれたことがある。
それがきっかけで野球を知り、マウンドで汗を流す選手をかっこいいと思うようになり、5歳の頃見たあの甲子園の熱戦を見て野球をやろうと決めたのだ。
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